高柳健次郎先生の遺志を引き継ぐ学科

『電子物質科学科』は平成25年4月の工学部の改組により、(旧)電気電子工学科で電子回路や電子デバイス(エレクトロニクス)の研究していた教員の大多数と、(旧)物質工学科で材料科学(マテリアル)の研究していた教員の大多数、そして、電子工学研究所の教員の大多数が集まって組織された『融合』学科です。
また、電子工学研究所は高柳健次郎先生ゆかりの研究所です。このため、電子工学研究所のほとんどの教員が集まっている電子物質科学科は高柳健次郎先生の遺志を引き継ぐ学科と言えるでしょう。

幅広いグローバルな視野を有する学生の育成

電子物質科学科の誕生で『融合』したのは教員の所属だけではありません。学問分野も『融合』しました。実際、電子物質科学科のカリキュラムは電子回路や電子デバイス(エレクトロニクス)の学問と材料科学(マテリアル)の学問のどちらも学べるという特徴的なものになっています。
すなわち、私ども電子物質科学科の教員は『材料の知識や経験を有する電子回路や電子デバイスの専門家』または『電子回路や電子デバイスの知識や経験を有する材料の専門家』という、幅広いグローバルな視野を有する学生の育成を目指しています。

社会から必要とされる「電子デバイス」と「材料科学」の融合

それでは、なぜこのような融合学科を作る必要があったのでしょうか?
-それは社会からの要請にほかなりません。

日本はものづくりで世界をリードしてきました。その代表格は自動車でしょう。
自動車には目に見える部分にも見えない部分にも数多くの電子部品が使われています。
目に見えない部分の一例としてエンジンの燃焼の制御を挙げることができます。ガソリンエンジンでは空気とガソリンを混ぜて点火することによりパワーを得ていますが、空気とガソリンの割合(空燃比)の最適化は排気ガス中に含まれる酸素濃度を常に測定し、その結果を制御回路に戻す(フィードバック)することによって行っています。酸素濃度を計測するセンサーにはジルコニアと呼ばれるセラミックス材料が使われており、制御回路はエレクトロニクスそのものです。
見える部分の一例としてはカーナビを挙げることができます。おおざっぱに言って、カーナビにはGPSの電波を受信するためのアンテナ(誘電体セラミックス材料)、車の位置や経路等を計算するための電子回路(エレクトロニクス)、そしてその結果を表示するディスプレイ(液晶パネル材料)から構成されていますが、いずれの部品もエレクトロニクスとマテリアルが融合することによってはじめてカーナビとして機能します。

このように、私たちの身の回りのほとんどの工業製品はエレクトロニクスとマテリアルが融合して作られていますが、従来の工学部ではエレクトロニクスは電気電子系の学科が、材料は物質系の学科がいわば縦割り的にカリキュラムを構成しており、両方の知識を有する学生の育成はほとんどなされて来なかったと言っても過言ではないでしょう。

両方の知識を有する学生の育成を目指す「電子物質科学科」

静岡大学工学部電子物質科学科では電子回路や電子デバイス(エレクトロニクス)の学問と材料科学(マテリアル)の融合学科として両方の知識を有する学生の育成を行って参ります。
なお、本学科では学生は2年次に『電子物理デバイスコース』か『材料エネルギー化学コース』のいずれかのコースに所属します。前者はどちらかというと物理に基づいたカリキュラム、後者はどちらかというと化学に基づいたカリキュラムとなっています。このため、物理が好きな学生と化学が好きな学生のどちらの学生にとっても満足が得られる学科です。
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