K.Sさん
2024年3月卒業
アークレイ株式会社
在学中は佐々木研究室に所属し、テラヘルツ波について研究していました。
テラヘルツ波とは、光と電波の中間に位置する電磁波のことを指します。
通信技術やセキュリティチェック、非破壊検査など、幅広い応用先が期待されています。
私の研究テーマは、「有機分子結晶におけるテラヘルツ帯振動モード」です。
光を材料に照射すると、同じ周波数をもつ分子運動が共鳴し、光が吸収されます。
我々は、この現象を吸収ピークとして観測することができます。
本研究では、テラヘルツ周波数帯域で観測される吸収ピークの温度変化に着目しました。
一般的に、吸収ピークは温度上昇に伴い低周波数側にシフトする「レッドシフト」と呼ばれる現象が観測されます。
一方で、有機分子結晶では稀に、高周波数側にシフトする「ブルーシフト」と呼ばれる現象が観測されます。
このブルーシフトについて、様々なメカニズムが提案されていますが、まだ完全には解明されていません。
私はテラヘルツ帯振動モードのなかで、電荷をもつ原子の動きに注目し、ブルーシフトにおいて重要である可能性が高い分子間-分子内水素結合の特定に成功しました。
大学院では国立共同研究プロジェクトに参加し、国立台湾大学で研究する機会を得ました。学会にも積極的に参加し、令和5年度の日本分光学会年次講演会では若手ポスター賞を受賞しました。
最後に、電子物質科学科は物理と化学が融合した他にはない学科です。
物理も化学も好きな学生にとっては、存分に学ぶことができる環境が整っていると思います。